Featured01特集
これからの丸善石油化学Vision・Mission
01 New landscape 石油化学業界のいま
Keyword 求められる、量から質へのものづくり
Keyword
求められる、
量から質へのものづくり
世界の石油化学市場では供給の再配置が進み、大型設備での「生産量競争」が加速しています。
一方で、気候変動対策や資源効率化に対する社会からの期待はますます高まっており、「量より質」への転換が世界共通のテーマになりつつあるなか、燃料の切り替えや省エネ、サーキュラー原料の活用など、よりクリーンなものづくりへのシフトが進んでいます。さらに、5GやAI、EVや電池の普及を背景に、半導体や高機能材料といった付加価値領域の需要が拡大し、安定供給への期待も高まっています。
こうした動きを受け、日本国内では生産活動を競争力の高い設備に集約し、必要とされるものを最もふさわしい形で届ける「量から質へのものづくり」が本格的に進んでいます。
02 Maruzen’s position 丸善石油化学の現在地
Keyword 二面性を持つ事業構造
Keyword 二面性を持つ事業構造
丸善石油化学の事業は、「基礎化学品」と「機能化学品」という2つの領域によって構成されています。
基礎化学品では、プラスチックや合成繊維など幅広い産業の原料となる製品を安定的に供給し、社会基盤を支える重要な役割を担っています。一方、機能化学品では、技術革新に伴い高度化するニーズに応えるべく、新たな製品開発や市場展開を推進しています。
特に半導体分野においては、フォトレジスト関連ポリマーをはじめとする製品群での競争力強化を図り、人的資源および設備投資を重点的に配分することで、国際的に信頼されるサプライヤーとしての地位確立を目指しています。
安定供給による産業の基盤維持と、先端分野への積極的な取り組みという二面性を兼ね備えている点が、丸善石油化学の大きな特徴です。
Basic chemicals 基礎化学品事業
原油を精製して得られる「ナフサ」をエチレンプラントで分解し、エチレン、プロピレン、ブタジエン、ベンゼンといった石油化学品を製造・販売しています。
主な最終製品
ペットボトル
タイヤ
衣類
インテリア
Functional chemicals 機能化学品事業
エチレン製造過程で分留・抽出される副生物を活用し、生産するのが機能化学品です。さまざまな分野で利用される基礎化学品に対し、特定の分野で高い性質を発揮します。
主な最終製品
化粧品
洗剤
インク材
半導体
03 Strategic priorities これからの重要テーマ
01.基礎を「選択と集中」で鍛え直す
国内需要の変化と国際的な競争環境を踏まえ、基礎化学品事業の要となるエチレン製造装置の最適化を進めています。2026年度を目途に、自社の装置を停止し、効率性の高い京葉エチレン(出資比率:丸善石油化学
55%/住友化学 45%)に生産を集約することで、稼働率とコスト競争力を高めます。
また、エネルギー効率の高い装置への集約することで、CO₂削減効果も伴うグリーントランスフォーメーション(GX)への積極的な貢献も意図しています。社会に欠かせない基盤素材を、より確かなかたちで安定的かつ持続的に届けつづける体制を確立します。
Point 01 稼働率の向上
約70%
約90%
Point 02 CO₂排出量の削減
年間約19%削減
02.
クラッカーの脱炭素化(GX)を
実装フェーズへ
気候変動対応を事業の中核に据え、クラッカー燃料をメタン主体からアンモニアへ転換し、燃焼起因のCO₂排出を大幅に削減する実証・技術開発を推進しています。丸善石油化学を含めた4社による共創プロジェクトで、GXに向けた取り組みのなかでもハイインパクトな領域を担う「燃料の脱炭素化」として、イニシアチブを発揮しています。
また、ケミカルリサイクル(分解油をエチレン・プロピレンへ循環)や、バイオナフサのマスバランス活用など、サーキュラー化の推進にも注力し、業界全体の低炭素化をリードしています。
03. 高機能化学品で「成長の柱」を伸ばす
インキ・塗料・接着剤の原料となるメチルエチルケトン(MEK)や、半導体製造に不可欠なフォトレジスト用ベースポリマーの分野においては、世界トップサプライヤーの地位を確立してきました。高度な品質と安定供給力が評価され、最先端の顧客企業からも厚い信頼を得ています。
こうした既存の強みをさらに伸ばすため、パートナー企業等との共同開発を通じて新しい技術要求に応え続けるとともに、国際的な規制や環境対応を見据えた代替原料・処方の開発にも取り組んでいます。これにより、「産業の進化に不可欠な高機能素材を安定的に提供する存在」としての競争力を強化し、持続可能な事業基盤を築いています。
- メチルエチルケトン
(MEK)
- 世界トップクラスの生産能力(世界No.1) 東京スカイツリーの塗料溶剤にも使用され、景観の向上にも貢献
- フォトレジスト用樹脂

- 世界トップクラスのシェア グローバル半導体サプライチェーンの安定性と社会インフラの高度化を実現
- フォトレジスト用
ベースポリマー
- 世界のトップサプライヤー レジスト樹脂そのものの性能(解像度・LWR/LER・耐熱性など)を規定するため、技術革新の土台を担い、半導体メーカーが求める極限的な品質・精度を実現可能にする
04. 新規領域の探索に向けた研究開発
既存の事業領域を越えて、成長が期待される新分野の探索を積極的に進めています。具体的には、化粧品・日用品分野での新素材開発、リチウムイオン電池材料による次世代エネルギー分野への挑戦、さらにDDS(ドラッグデリバリーシステム)技術を活用した医薬関連素材など、多角的な研究開発に取り組んでいます。
これらは中長期的に丸善石油化学の新しい柱となる可能性を秘めており、社会課題の解決にも資する挑戦として位置づけられています。
04 Better than Yesterday 昨日より今日を積み上げる
Keyword あたりまえを組み替える
Keyword あたりまえを組み替える
丸善石油化学の根幹を成すのは、長年にわたり受け継がれてきた「安全第一・品質第二」という揺るぎない姿勢です。危険物を扱う石油化学産業において、事故ゼロを大前提とし、お客さまの期待に応える製品を確実に、誠実に届ける品質へのこだわりを徹底しています。
また、装置やプロセスを日々改善しつづける文化は、単なる効率化にとどまらず、エネルギー使用量の削減や環境負荷の低減といった社会的要請にもつながっています。世代を超えて現場で培われてきたノウハウと責任感は、丸善石油化学の「企業文化=昨日より今日、今日より明日」という精神として受け継がれています。
どんなに小さな改善にもこだわり、実行していく毎日が、やがて「あたりまえ」を組み替え、未来の産業を形づくっていくと信じています。
